動物愛護関連の情報と、独学ピアノの記録。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

5.猫のような犬の凪・噛み癖の矯正

凪のしつけに当たって、とりわけ気を使ったことがある。

それは「負の罰を与えるしつけ」を出来るだけ少なくすることであった。そして、とにかく「褒めて褒めまくって」しつけなければならなかった。ジャックラッセルテリアは決して服従心が強い犬種ではないために、人に気に入られること・人が望むことを進んでしようとする性質が少ない。つまり、「命令に従うことで喜んでもらう」という動機が少ないために、下手に叱っても、ただ「嫌なことをされた」という記憶に終わってしまうことが多いようだが、凪にはとりわけ強くそういうところが見られた。人間の子供に例えると、先生に叱られた→今度は叱られないように気に入られるように頑張る、ではなく、叱られた→先生嫌い、学校行かないとなってしまうタイプだと思う。こう書くと後者が打たれ弱い子供のように思われるかもしれないが、ジャックラッセルテリアは、ここでいうところの「学校」に行かなくても自活能力が犬の中では残っている方だからこういう性質になっていると言えると思う。

狩りの出来る犬JRTらしく、凪も、放していい場所で放すと、亀・ヤモリ・コガネムシ・バッタなど取ってきてくれた。もちろん毎回いらないということを伝えようとがっかりした仕草をしているうちに、とらなくなってくれたが、このように、人間がいなければ生きて行けない犬の中では狩りという自活能力が残っている方となると、性質が一般的に「猫の性格」と言われるものに近くなってしまうのも理解出来るように思った。体もぶちねこのようで、「あれ猫だよね、クスッ」とか散歩中に子供に笑われたこともあったが、体の模様だけでなく、凪は、かなりのマイペースで、勝手に色々と探索するのが好きであった。興味のあることとないことがはっきりしていた。最初はそんなことが分からず、凪を叱ったものだったが、ただ嫌がって、ソファの下に逃げ、しばらく出てこなかったりした。そのまま頑固にいじけ続け、メシも食わないということまであった。無論、叩いたとかではない。

日本で犬をしつけるにあたって、未だに「叩く」人がいるが、それはジャックラッセルでなくとも論外である。犬の流儀で、手を使って叩くという方法は母犬がとることはないために、いわれのない恐怖を与えてしまい、人間の手そのものが恐怖の対象になってしまうらしい。

(実は、最初にブログを書いていた頃は、凪はもう少し従順だと勘違いしていたのだけれども、すぐ裏返って腹を見せる件は前回書いたように、純粋な服従心からではなく、構って欲しいという気持ちからだったりと、「寂しがりで利にさとい」凪の性格が一見そう見せただけであった。)

さて、そんな凪の性格を少しずつ理解しながら、最初に取り組んだのが「噛みの矯正」だった。

これも、元々猟犬種であるもに、噛む事自体を禁止しても効果はない。そして凪は、噛むものをただ与えるくらいでも物足りず、ダンボールを何度も組み立てて与え、破壊させて遊ばせた。また、引っ張り合いの遊びで「ハナセ」というコマンドを覚えさせ、離したらごほうびを与えて大げさに褒めるということを繰り返した。この最中に手を噛んだら遊びをやめてしまうのだ。このしつけの方法は、その頃「語ろ具」というところで「ジャックラッセルテリア飼育奮闘気」を書かれていた史嶋さんに相談したり、その記事から知ったことであるが、凪にぴったりだったのか面白いくらいに上手くいった。史嶋さんは、現在「ドッグ・アクチュアリー」に寄稿されている。

史嶋さんの記事(本人の了解を得て紹介させていただいてます。)

以下「史嶋さんの記事」より抜粋しましたが、より詳しくは史嶋さんの記事そのものをご覧下さい。

命令で咬み着かせる、命令で放させる、命令で咬みつきを止める訓練

1.犬に咬んで遊んでも良いロープおもちゃを生き物の様に動かして見せ、モッテと命じて咬ませ、飼い主と犬でひっぱりっこする。手を咬む危険性のある犬の場合は鉄工用手袋で手をガードする。おもちゃを無視して手を咬むようなら訓練を中止してしばらく犬を無視してから訓練を再開する。

2.咬み着いて所有欲が高まり、犬が本気でおもちゃを奪おうと全力で引いてきたら、おもちゃごと犬を手元に引き寄せ、ハナセ(ダセ)と命じながら、もう一方の手の指を犬の耳の穴にそっと入れる。または耳に強く息を吹き込む。この時、興奮した犬に咬まれない様に注意!

3.犬は耳の穴を強く刺激されると、咬みついているものを反射的に放す。

4.犬が咬んでいるおもちゃを素直に放したら、おもちゃを隠し、ヨシヨシ・ハナセと褒め、スワレを命じ、手のひらを犬の鼻面に向けてマテと命じ、しばらく静止させ、犬が短時間でもおとなしくできたら、ヨシヨシ・マテと褒めながらご褒美を与える。

5.1に戻り、再びおもちゃに咬みつかせ、しばらく遊んでから、ハナセの声符と耳の穴を刺激して放させる事を繰り返し、ハナセといわれたら咬んでいる物を放す、と言う条件反射を作り出す。

6.訓練を1週間くらい繰り返すと、犬はハナセと言って頭の上に手をかざすだけで、条件反射によってすぐに放す様になる。この訓練を毎日犬がある程度疲れるか、飽きるまで時間かけて続ける。

7.最後はおもちゃを見せて、咬みつこうとした時に、手を犬の頭の上にかざし、ハナセと命じ、最初から咬ませない様にする。この段階で声符はハナセからヤメに入れ替えても良い。

8.手をかざしてヤメと命じる→咬みつくのをやめる→飼い主に褒めてもらえる、と言う条件反射が完成すれば、他の犬と取っ組み合いをやっていても、ヤメやハナセの命令で取っ組み合いを中止して呼び戻す事もできる様になる。

9.また、ヤメ~マテまでの訓練が完成すれば、犬が他の犬や人に咬み着きそうになる前に、ヤメで咬み着きを止め、マテで静止させる事も出来るようになる。ツケ(脚側停座)が出来る犬なら、ヤメ・ツケと命じても良い。

(抜粋終了)


あとは、「持ってこい」のリトリーブ。ボールを投げて持ってきたらごほうびというやつだ。ボールのリトリーブは教えなくても最初から出来たので大変楽だった。

image1383910[1]

image4171445[1]
(リトリーブを覚えさせる過程で、「マテ」と「キャッチ」も習得させた。このとき生後5ヶ月。)

これらのことで、かなりの運動量を稼いできたので、歩きで3時間と言われるJRTの運動量を確保できたのである。この手の運動を毎日繰り返すことで、凪は夜に家の中を走り回ったりすることなく、「くふーくふー」という小さな寝息や「クポ」という謎の寝言を言いながら、腕枕もしくは同じ枕で頭を寄せてぐっすり眠ってくれることになったのである。

DSC00339.jpg(後ろ足を前に持ってきたような形で「エビ」のようなポーズで眠る凪)

つづく(次回予定・凪の犬付き合い)

4.子供達の人気者

「なぎちゃーん!」

「なぎちゃーーん!!」

公園に行くと、子供達が走ってくる。凪は喜んで足元ではしゃぎまわり、子供達にじゃれつく。退屈時に、例えば「凪、爆走モード」のような"興奮スイッチ"が入ったら発動する激しい噛みも、”スイッチ”が入ったり退屈でなければ発動しないことが分かっていたので、見張ってはいたものの、子供がケガをするようなことはなかった。凪は子供達と和やかに遊んだ。

凪は子供達の人気者だった。どどっと20人近くが押し寄せてきたこともある。
僕はそれまで、凪の外見が可愛いということに、ほとんど気が付かないでいたために、ここまで可愛く見える犬だったのかと感心することになった。ブログでも、「めったに見れないほど可愛い顔ですよ」、と言われ、「へえ、そうなのか」と感心したくらいだった。別に顔が可愛いから家に迎えたわけではなかったのだから。

DSC00352.jpg
(小学生達に撫でられる凪)

DSC00350.jpg
(カメラのシャッターの間に砂が挟まって、上手くシャッターが開いてないのでこんな写真になってしまっている)

凪は、子供達に対して、すぐ裏返ってみせた。
子供のとっぴな行動を苦手とする犬は多いというが、凪を以前に拾ったのは子供で、多分ずっと遊んでもらっていたのだろう。凪は子供が大好きだった。そのため、結構やっかいになることも多い、「人間の子供に対する社会化」は最初の時点でほとんど完成していたことと、子供達が勝手に集まってきてたくさん遊んでもらえたことで苦労しなくてすんだ。この点は、凪が怖い顔の大型犬とかではなくて、可愛くて良かったということかもしれないが、逆に最初からかなりの甘ったれのワガママになっていたとも言える。3歳になった今でも、凪の顔をじっと見つめられ、「この子はもう大人なのですか?」とか「何ヶ月ですか?」と聞かれたり、「甘えん坊の顔をしている」と言われることがよくあるので、表情に出ているのかもしれない。犬の場合は、アルファタイプ(リーダー気質)の犬は顔がきりっとしていたり、怖いことが多いように性格が顔に出やすいと思う。

凪の甘ったれとワガママに関して書けば、通常、裏返って腹を見せることは、服従を意味するというが、凪の場合は、ちょっとした打算があるのだ。
裏返れば、構ってもらえると思っているのだ。というのも、退屈なときに傍に来て裏返り、裏返ったところで構わなかったりすると、不満そうに「ブー」というのである。また、本当に相手を上だと見て、自分が下だという「服従」を表すために裏返っている犬は、目を合わさないし、「ブー」はないだろう(笑)。凪は、思いっきり見つめた状態で裏返る。体は裏返っても、目からはギンギンに「構ってオーラ」が出ているのだ。

つまり、目的のためには手段を選ばないやつということである。JRTは、一般に服従性が低く、問題解決知能が高い傾向があるということだが、凪も例外ではないようだ。服従性の高い犬ほど、リーダーに副って行動することを良しとするために、飼いやすいと言われる。人間がそうであるように、「頭が良く我の強い子」より、「あまり頭は良くなくても素直な子」がむしろしつけやすいのだ。もちろん頭も良いにこしたことないと思われるかもしれないが、頭が良い犬=しつけやすいかというと必ずしもそうではない。確かに頭が良いと、色々覚えやすくはあると思う、しかし、頭がきれるために飼い主の裏をかいたり、退屈を感じやすく、より刺激を求める傾向が出てくると言われ、「問題犬」と言われるように育ってしまったものは、むしろ非常に頭のいい犬だったりすることも少なくないらしい。

image4301681[1]

凪の「人間の子供への社会化」がほぼ完成していたことに加え、もう1つ助かったことは、凪が一切と言っていいほど「吠えない」ということであった。もし、激しく吠えるのであれば、ペット禁止のところで、引っ越すまで隠し通すことが出来なかったかもしれない。

まず、「無駄吠え」が出るのは、つなぎっぱなして、家族から切り離されていることの不安や、運動の足りないストレスなどから来ることが多く、無駄吠えと言っているのは人間側の都合であり、犬からすれば、原因はきちんとある。

凪の場合は、まだ仔犬であり、今までにも色々あったために、ストレスが少なかったというよりは、凪自身の性質によるところが多かったと思う。凪は、最初の頃、吠えることも出来ないほど他の犬や、少し苦手としていた中年以上の男性などに萎縮していたとも言えるが、それを差し引いても全体的に驚くほど、吠える回数は少なかったし、今でも、知らない人が玄関前に来でもしない限りはほとんど吠えない。ちなみに、中年以上の男性が苦手な理由は、大体想像がついていて、そこには凪の出生が関係していると予想が出来た。それについては、また次回以降の話である。

記事の中で凪が吠えた記述は今までに2回だけ出した。最初は、出会ったその日、ダンボールの中から、区切った「ワン・ワン」。これは、欲求吠えである。明らかに、「○○して欲しい」という何かがないとしない吠え方。これは、今思えば「連れて行って」の合図だったのではないかと思える。それ以来、3ヶ月ほどすっかり無言で、凪を見に来た人が「ノドに異常があるのではないか?」と心配するほどに、吠えなかったのだから。

次に凪が吠えたのは、初めて散歩に出たとき。興奮したような高い声で2回区切って吠えた。(しり上がりの吠え声は、スタンレー・コレン著の「犬語の話し方」にも「面白いなあ!」「行こう!」などという遊びの最中の興奮の声だとある。)

それから、忘れもしないのが、家の中で大声で吠えたときである。ナギメシをつくっているコンロの火のことをすっかり忘れていたのだ。いきなり大声で激しく吠えるので、何事か?と凪の吠えている方を見ると、コンロに鍋をかけっぱなしで、見ると丁度水分が蒸発し、焦げ付く前だった。人間の鼻だったら焦げてからしか分からないところ、嗅覚の鋭い凪の鼻に知らされたのであった。

凪には、「噛みの矯正の必要性」、「犬同士の付き合い方(犬の社会化不足)」、「分離不安という問題」はあったと前回書いたが、今後、その馴致と矯正について書く前に、今回「助かった2点」を書いておいた。凪は、「人間への社会化(特に子供)」と「吠え」については全く心配がなかったのである。

(つづく)

3.名前の真の意味

「ジャックラッセル……」

初めて聞く名前を忘れないように、帰宅すると、早速パソコンを開き検索する。

「ジャックラッセル……」
そこには、凪と同じようなぶち模様で頭だけ茶色、目の周りが黒く縁取られたの犬達の写真があった。確かによく似ている。今まで、コーギー?とか思って調べても分からなかったはずだ。確かに顔はコーギーに似ていたのだけれども。「ジャックラッセルテリア」ふむふむ、テリアなのか。

そして、ジャックラッセルテリアの記述は、読むほどに「なぜ日本にこんな犬を輸入した!?」と思うようなものであった。

ジャックラッセルテリア。イギリスでは元祖の形をパーソンラッセルテリアと呼ぶ。生粋の猟犬であり、キツネ狩り用にフォックステリア、ビーグルなど、いろんな犬種をかけあわせてつくられた狩のエリート(注・現在はイギリスではキツネ狩りは禁止され、JRTはもっぱら、犬の競技会で活躍している)。体重5~8㎏の小柄な体だが、馬と併走出来る体力と、肉食獣キツネと1対1で戦って勝つ運動神経、激しい気性と勇敢さを併せ持つ。体力は大型犬並、噛む力は中型犬並。強気なテリア気質。賢いが強い意志を持つためしつけが困難。頑固でしつこい、好奇心旺盛。初心者には向かない。

ちなみに、顔がコーギーに似ている謎も解けた。
”ジャックラッセルテリアは、イギリスからオーストラリアに渡り、コーギーをかけあわせられたことで脚が短くなり、性格も少しマイルドになりました。それが日本で現在一番多くいるジャックラッセルテリアです。”

凪は脚が長いが、それは先祖がえりというところか。

この件で、僕は、売れるなら何でもかんでも売ろうとする、ペット流通の問題点を知ることになる。本来ジャックラッセルテリアは、イギリスの広い庭付きの家や馬舎で、自由運動をして伸び伸び過ごし、多人数で狩場に赴いていた犬だ。日本の狭いアパートで、ましてやケージに閉じ込めてはあまりに気の毒だ。元々、凪はいつでも見つめていて、どこでもついてまわることから、最初から閉じ込めることはしなかった。そうやって、家の中のことを自然に自分で考えて覚えていって欲しいということは最初から思っていたからだ。そして、それはとても正解であった。犬は群れの動物、家族として受け入れられることで、群れの中にいると感じ、安心感を得る。切り離して閉じ込めたり庭につなぐことは、それだけでもストレスになるのだ。増してや、ジャックラッセルテリアのような犬では。このような犬を、小さいからあまり運動もしなくていいですよーと言って売りつけようとするペットショップもあるというから、問題である。

色々と調べ、今の凪の現状を実感するほどに、今の状態で里親に出したところでまずいのではなかろうかと思うようになってきた。まず、甘噛みが出来ず、興奮すると本気噛みになるという問題がある。手は血が出るし、友人に飛びついて耳たぶに穴を開けたこともあったのだ。友人は気にせず「犬歯であけるピアス穴」とかいう冗談で済んだけれど、この状態で里親に出すことは不安であった。

また、隣の部屋にでも行こうものなら不安がって泣き続ける。これは「分離不安」と言って、幼少期に取り残されることの不安感を強く感じた犬に多いらしい。こうなると、たらいまわしもまた気の毒である。

とにかく運動量のことは分かった。歩きで3時間分らしい。
ペット禁止アパートのため、隣人に見つからぬよう、こっそり家を出て夜中に散歩する日々になった。そして、また散歩中にとても困ったことに気が付く。なぜもっと早く気が付かなかったのか。
凪は、吠える犬がつながれているところを通ることが出来なかった。吠えられると怖くて歩けなくなってしまうのだ。また、中型犬くらいが2匹前にいても座りこんでしまった。

「社会化不足」
幼少期、犬が犬同士のルールを学ぶ8週以前に親兄弟から引き離されている犬に多く起こる問題。犬同士の付き合い方が分からない。犬なのに犬を怖がる犬になる。噛みの制御が出来ないこともこれに含まれる。恐怖期と呼ばれ、怖いと認識したものを一生怖いと思うようになる時期があるが、その5ヶ月齢以前までにとにかくたくさんの犬と触れ合わせないと、一生犬同士で問題を起こす犬になりがちである。
(現在、動物愛護法改正の話し合いが環境省であっているが、「生後8週までは親兄弟から離さない」ということは今回決められなければならない。犬の売り手側が猛反対して前回の改正時に決まらなかったが、この規定がないのは先進国で日本だけである。恥ずかしいことだ。)

噛み癖、社会化、分離不安、
こうして僕は凪を通して、犬のしつけの上での問題に正面からぶつかることになった。

DSC00243.jpg

その頃、売れるものなら何でも売るいいかげんな日本の動物事情と知ったことから、ドッグフードについても調べていたのだが、市販のドッグフードは原材料の表示が明確でないということが分かった。しかも、ジブチルヒドロキシトルエンなどの発がん性の保存料とか、酷いのは枯葉剤が入っているものもあった。ただ袋に入っているだけで賞味期限の長すぎるのもおかしい。書いてないものはとにかく何が入っているのか正直分からない!(これは2年半前のことであり、最近は、少しマシになってきているドッグフード事情であるが、多くはまだまだである)。

ここで1つドッグフード選びの基準として、「人間が食べてはいけません」と書いてあるものだけは避けたほうがよい。目立たないように隅に小さく書いてあることが多い。こういうものには、良くない添加物が入っている恐れがある。犬はオオカミから遺伝子が分かれた1万5千年前から、人間の傍らで暮らし、人間の食べ残しを貰ってきた生き物である。ずっと人間と同じものを食べて生きてきたのだ。また、先祖が雑食の人間が食べられて、先祖が肉食の犬の体に合わないもの(例えば過度な塩分、タマネギなど)はしばしあっても、その逆はむしろないと言ってよい。

僕は思った。「ドッグフードは信用できない!」もちろん、ドッグフードに関しても人間の食材同様に細かい規定があるドイツのものなどは良いものがあると最近知ったのだが、とにかく、そのときはそう思ったし、今でも、いくら栄養の計算されたものでも、所詮「カロリーメイト」だと思っている。生の新鮮な食材にはかなわないと。
そんなわけで凪の食事はずっと手作りである。

歩きに換算して3時間の散歩、手作りの食事、噛み癖の矯正、社会化させ犬同士の付き合いを覚えさせること。
とてもハードな日々が続いた。普通に仕事しながらのこの日々は、正直ノイローゼになりそうだった。あるいはなっていたかもしれない。このまま凪と生活するとなると、引越ししなくてはならないので貯金もしなければならなかった。まとまった時間など全然なくて自分のそれまでの趣味も全部やめることになった。

引越しを決めた頃に、凪の名前の本当の意味を知ることになる。そこにはまだ気が付いてない深い意味があった。元々友人からの提案は、風の強い日に家の中に入れたら風が止まったから、風を止める「凪」でいいんじゃないか、ということだったし、里親に出すと名前も変えられるだろうからということと、思いいれたら寂しくなるからと考えず、仮の名くらいに思っていたのだ。でも、僕は知っていた。この友人が、適当なアイデアで名前の候補を挙げるやつではないということを。そして聞いたのだった。名前の本当の意味を。

凪(なぎ)・風を止めるという意味の漢字。
風の強いみぞれの降る寒い日に出会う。

「身も心も もう2度と 冷たい風に吹かれないように」

「凪」それはとても心のこもった名前であった。
この名前以外はありえないと思った。
この名前の通り、凪は幸せにならなければならない。

image2488499[1]
image2015714[1]

それからの凪は、少しずつ、でも確実に、最終的には大きな変化を見せていくのであった。

(つづく)※写真は、眠そうな凪と、眠ってしまう凪

追記・昨日、凪は3歳になりました。(乳歯の抜ける時期から逆算しての誕生日の推測です。)

2.君の名は”凪”

仔犬は家に入れる前、目が合ったとき、2回区切って吠えた。

仔犬を家に入れると、知人に電話をして聞いたり、友人などに見せたりしながら、里親になってくれる人を探そうとした。今でこそ、里親サイトやボランティア団体の存在を知っているけれど、そのときは思いつかなかった。

そんな中、仔犬と遊んでいた友人が「名前を付けよう」と言う。そんなことをしたら、情がうつるんじゃないかとも思ったが、「この犬」と呼ぶのもなんだか言いにくいので、仮の名ということでいいかと思った。

「凪ってどうかな?」
「なぎ?」
「風の強い日に家の中に入れたら風が止まったから。風を止めるという意味の漢字で。」
「じゃあそれで。」そのときは深く考えなかったし、それ以上の意味を聞きもしなかった。

DSC00237.jpg

「なぎ・・・」「なぎ」
なぎが振り向く。

image4819735[1]

「なぎ!」
なぎが見つめる。

名前を呼びながら遊んだその日、凪は1日で自分の名前を覚えてしまった。
話の中で「凪がさ」とでも出ると、じっと見つめる凪の瞳。
凪は、いつもじっとこちらを見つめて、あらゆることを覚えようとしているかのようだった。

凪は、トイレの場所も1日で決めてしまった。
最初は、買ってきたペットシーツを部屋中に敷き詰め、どこをトイレにするか見るという方法をとったのだが、フンの方は、食事の場所から1番遠いところにする。小の方も、遠いところがいいらしく、柔らかいペットシーツの上でするということもすぐに覚えてしまった。

「その子、そうとう賢いよ。一番賢いと言われるボーダーコリーでもなかなかそういう子はいないよ。」
その話をしたときに、ボーダーコリーを飼っている人から言われた言葉だった。後々、当たらずとも遠からずだということを実感することになるわけだが、とりあえず「賢い=言うことを良く聞く」とはならないということだけを、ここでは書いておくことにする。

また、後から知ったことだが、最初からトイレを明確に区別出来る犬は、ペットショップ出身でないことが多いらしい。ペットショップ出身の犬は、狭いケースに入れられているため、食事の場所とトイレの場所を明確に分けるのが難しくなってしまうという。

DSC00248.jpg

凪は、とにかく寂しがった。仕事から帰ってくると泣きながら飛びついてきたし、家中をついてまわって、すぐにクンクン言うので、隣の部屋に行くのにもドアを閉められず、燃費の悪い冬の日々を過ごすことになった。初日は、さすがに慣れなかったのか大人しかった凪であったが、2日目・3日目とどんどん元気になっていく。家の中を走り回り、噛むものを与えたが破壊が激しい。そして、手を甘噛みするのだが、どのくらい噛んでいいか分かってないらしく、甘噛みというより本気噛みのようで、手から血がでる。外を歩かせれば落ち着くかと、外に出すことにした。車に乗せ公園へ。車から降りると凪は高らかに2回吠えた。そして、40分ほど一緒に軽く走ったが、口ひとつ開けない。つまり息ひとつ切らしてないのだ。こんな小さな仔犬が?最初見たときに、この辺で初めて見る柄から、意図的につくられた犬のような気はしていたのだが、これは一体……

そして、休みの日、注射や健康診断などのために凪を病院に連れて行くことにした。幸い、車に乗っている20分ほどは大人しかった。

健康診断の結果、異常なし。寄生虫もいない。体重3.9㎏。注射も受けた。

そこで僕はずっと気になっていたことを聞いた。
「あの、これは種類は一体何なのですか?」
「ジャック。」
「ジャック?」
「ジャックラッセル。」

病院を出て、凪と共に車に乗ると、忘れないように繰り返しながら運転した。
「ジャックラッセル……」「ジャックラッセル……」と。

(つづく)

1.凪と出会った日

凪との出会いから現在までのことを、まとめて伝えていこうと思います。連載数回程度になると思います。
FC2に引っ越したときに誤って過去ログを消してしまったからというのもありますが、より分かりやすくまとめて伝えていくことが、「自分に出来ることの1つ」だと思うからです。
これは、ただの1匹の捨て犬の話しではなく、そこに繋がるたくさんの問題が隠れていますし、隠されていました。それらのことを凪との出会いを通して知ることになっていきました。そういう視点で書こうと思います。

1.凪と出会った日

2008年1月22日、その日の夜は特別に冷えこんでいた。朝方になると寒さで眠りが浅くなるほどだった。そのときに、寂しそうな犬の声を聴いた気がした。「クゥーーン」と長く細く鳴く声だった。そのときは浅い眠りの中で、夢とも現実ともつかずその声を聴いた。しかし、次の日の朝、その声が夢ではなかったことを目の当たりにすることになる。
1月22日朝、アパートのドアを開けて外に出ると、目の前にダンボールがあり、その中に仔犬がいた。仔犬は、ダンボールのすみでうずくまっていて、近づくとこちらを不安そうに見上げた。僕は、すぐにその姿を携帯電話で撮影した。飼い主になってくれる人を探そうと思ったからである。「捨て犬→保健所→殺処分」この流れがすぐに頭に浮かんだからである。
この流れを知らない人も現実には結構いるが、僕が知っていたのには理由がある。子供の頃に、トラックに入れられる犬を見たのだ。白くてふさふさした犬だった。テリア系だったろうか。それは近所の人の家で、それを見ていた人達が噂していた。”あの犬連れて行かれるのよ””保健所で殺されるのよ””かわいそうに……”そのことは強烈な印象となって心に残っていた。

hajimete.jpg

今、目の前でダンボールの中にいる仔犬。誰かが捨てたのだろう。食べ物を入れる器が一緒に入っていて、子供が使うような柄の毛布が下にしいてある。ここは、ペット禁止のアパート、ということは、このアパート内の子供が拾ってきた犬を親が、誰かがなんとかしてくれないかと捨てたのではなかろうか。

仔犬は痩せて震えていた。まずとにかく食べ物を与えよう。慌てて家の中に戻ると、何でもいいから食べられるものをとパンをつかみ少し温めた牛乳をかけて仔犬のところに持っていった。仔犬は、それを見て(匂いを嗅いで)一瞬固まったかと思うと、むさぼるように食べだした。そうとう空腹だったのだろう。食べ終わると少し元気になったのか、ダンボールから乗り出してきた。

image3510528[1]

結構食べるなあ、じゃあもう1枚。また、食パンをとりにいく。牛乳をかけ、仔犬のところに戻ると……いない!?あたりを見渡すと、姿が見えた。隣の庭で遊んでいたようだ。仔犬は食パンを持った僕に気が付くとなんと走ってきた。さっきまで震えて元気がなかった仔犬の目覚しい回復力には驚かされた。その元気さの理由は後に知ることになる。

とにかく誰か里親を、それから数日は仔犬を家に入れた状態で、飼い主を探すことに専念することになる。小さなぶち模様の体、白地に頭だけは全部茶色で目の周りには濃いラインが入っている。なんか、化粧しているみたいだなあ、この犬、しかも初めて見る模様。ネコとイヌの合いの子みたいだ。とにかく、仔犬の第一印象は「なんじゃこりゃ!?」だったのである。(つづく)
<< 前のページ  
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。