動物愛護関連の情報と、独学ピアノの記録。

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灰色の翼持つ美しき者たち 2章

2章 サタナエルの誘い

 

私は胸の内の黒いもやもやを感じたまま胸を押さえ、少し顔をしかめて思った。
……確かに、空を飛ぶのには申し分ない羽だ。しかし、なんて気持ちの悪い姿なのだろう。すると、サタナエルはすぐさま私のその様子に気付き、答える。
「私と同じ姿になることに今は抵抗があるかもしれない。だが、それは最初だけだ。なんでも初めて見るものには奇妙な感じを覚えるものだろう?なじみがないだけだ。この姿が醜いと誰が決めた?この姿は一番力がある姿だ。世界は弱肉強食だから、すぐこの姿が一番有力なものとしてとってかわるのだよ。」
サタナエルは、私がサタナエルを気持ちが悪いと思ったことまで見透かしていたのだった。一体このサタナエルと名乗るこいつはなんなのだろう。サタナエルは話し続けた。
「それに、お前は今までが偽りの姿だったのだよ。だいたいおかしいとは思わなかったか?白っぽい、まるで天使と呼ばれるもののような羽が見えるのに、空を飛べないことを。その羽は誰かが嫌がらせでつけたものだとは思わないか?」
「それは……」
私は何か答えようとして、答えを探そうとして、胸の内が空っぽになっていっているのに気が付いた。反論できるような確固たる何かが見つからないのだ。そして、胸のうちに黒いものが押し寄せてきてちくりちくりと痛みさえ感じてくる。サタナエルがまた真っ赤な口を開く。
「お前は今の問答からも私が全てを見透かすことを知ったであろう?それを知ったところでもう一度湖でおまえ自身の姿を見てみるがいい。私は今までのお前にかけられていたまやかしを取り去ってやったのだよ、堕天使よ。」
堕天使。
サタナエルにそう呼ばれるのは2度目であったが、パニくったままだった1度目に呼ばれたときよりも、リアリティをもって響いてくる感じがした。私は怖くなった。ずっと憧れていた空は、あの光り輝く世界は本当に遠いだけのもので、この羽は飛ぶためのものではなかったなんて。
私は力をふりしぼるように答える。
「そんなはずはない、そんなはずは……」
私は私の声が震えているのに気が付いた。
「ハハハ、そう言うのならばいつもの湖でおまえ自身の姿を見てみると良い。……おっと、もうすぐ夜が明ける時間のようだな。では、また会おう堕天使よ。」
サタナエルはそう言うと、すっとかき消えるようにいなくなってしまった。

 

朝日が昇る。足元の若草が朝露で輝き、きらめく。いつものように。
だけど私の心の内はいつもと違っていて、その様子などほとんど目に入らなかった。胸がもやもやする。黒いものが重苦しくのしかかってくる。だけど、本当なのだろうか?私の胸には黒いものと同時に小さな疑惑がわいてきていた。私は自分の姿を湖で確認したくなった。サタナエルの言葉が本当かどうか自分の目で確かめたくなった。私は足まで重く感じ、足をひきずるような気持ちで湖まで歩いていった。いつものようにほとりに立つと、私は水面に自分の姿を映し、見る。羽の色が黒っぽくなってきているではないか。私はサタナエルの黒い羽を思い出したが、水面に映っているのは、サタナエルのような大きな羽ではなく小さい羽だ。
私は水面を見つめ続けた。先ほど湖にきたばかりの時よりもなんだかまた羽が黒っぽくなってきている気がしてますます見つめ続ける。羽をよく見ようとして、体を斜めにし、背の羽の辺りが水面によく映るように体の向きを変えてみた。そして私は、あることに気が付く。私の肩の後ろの辺りに、なにやら毛が生えてきているように見えるのだ。自分の目では確認することが出来ない、肩の後ろのあたりの位置。私はサタナエルの姿を思い出した。獣のような毛の生えた体と、大気をも切り裂くような羽を。そしてその言葉を。

 

今のままではどうせ飛べないお前。
飛べない苦しみは未来永劫続くのだ。
この私の姿は一番力がある姿だ。

剣で左の胸を突きさえすれば。痛みは一瞬。

お前は空を飛べるようになる。楽にな。

 

私は剣が欲しくなった。
どうせこんな姿なのならば、いっそ。
どうせ何も変わりはしないのならば、いっそ。

木々がざわめくような風が吹く。私の小さな羽根がいつものように震える。
うつむいたままの私が水面に映り、その周囲には青い空が反射する。
光り輝く、どこか遠くで見た記憶と想い、あれはまぼろしだったのか……
私は堕天使?未来永劫、光の中に住むことは出来ない堕天使?

光の楽園を追われしもの?
太陽が眩しい。
私は泣きたくなった。
涙がこぼれる。水面がゆがむ。私はぐったりとその場に座り込み、涙を流し続けた。


気が付くと、太陽が空の真ん中に昇ろうとしてたところだった。
丁度そこは湖の周りにある木の陰になっていたのでさほど暑さを感じないまま、夕べから今朝にかけての出来事に疲れて眠ってしまっていたのだった。目が覚めた私は、再び水面に映る自分の姿を見ることになった。黒っぽくなってきていた羽の色が少し薄くなっている、眠り込む前よりも白に近い灰色だ。なぜ?胸の黒いもやもやも少し軽くなっているようだった。


 

 とうとうサタナエルの誘惑があの子の元へ。
 いつかは来ること。
 ええ、いつかは来ること。
 この世界の秘密をあの子へ。
 ええ、あの子へ。

 

 (続く)

 

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コメント

この続きの3章「知恵の森」まで書いたところで熱が出てきた笑
しかし、パソから離れると治ったので、知恵の森だけに知恵熱かよwとか思ったりして; 多分、単に一気に考えて書いた結果だろうけど。
知恵の森の知恵熱www うん、ちょっと一息して下さい。
身体を壊してももともこも無いですわ~(゜.゜)
まぁ、勢いに乗れるときってありますもんね・・・<<<
↑ なんか自分の文章が可笑しい・・・ヘンだ・・・知恵熱かwww
あの子へ。。。。どきどき
あひるん・ありがとう。しかし、今勢いに乗ってるから、中断したら再開がやりにくそう。ということでまとめてやってます。知恵熱、伝染しませんようにww
マト&直美君・気にしてもらえて嬉しい。続きはまた今日中に。
ころなんさん・あ、その感想嬉しいな。説明する前に伝わってるし。
_・)チラ・・ドキドキ・・。
^^

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