FC2に引っ越したときに誤って過去ログを消してしまったからというのもありますが、より分かりやすくまとめて伝えていくことが、「自分に出来ることの1つ」だと思うからです。
これは、ただの1匹の捨て犬の話しではなく、そこに繋がるたくさんの問題が隠れていますし、隠されていました。それらのことを凪との出会いを通して知ることになっていきました。そういう視点で書こうと思います。
1.凪と出会った日
2008年1月22日、その日の夜は特別に冷えこんでいた。朝方になると寒さで眠りが浅くなるほどだった。そのときに、寂しそうな犬の声を聴いた気がした。「クゥーーン」と長く細く鳴く声だった。そのときは浅い眠りの中で、夢とも現実ともつかずその声を聴いた。しかし、次の日の朝、その声が夢ではなかったことを目の当たりにすることになる。
1月22日朝、アパートのドアを開けて外に出ると、目の前にダンボールがあり、その中に仔犬がいた。仔犬は、ダンボールのすみでうずくまっていて、近づくとこちらを不安そうに見上げた。僕は、すぐにその姿を携帯電話で撮影した。飼い主になってくれる人を探そうと思ったからである。「捨て犬→保健所→殺処分」この流れがすぐに頭に浮かんだからである。
この流れを知らない人も現実には結構いるが、僕が知っていたのには理由がある。子供の頃に、トラックに入れられる犬を見たのだ。白くてふさふさした犬だった。テリア系だったろうか。それは近所の人の家で、それを見ていた人達が噂していた。”あの犬連れて行かれるのよ””保健所で殺されるのよ””かわいそうに……”そのことは強烈な印象となって心に残っていた。

今、目の前でダンボールの中にいる仔犬。誰かが捨てたのだろう。食べ物を入れる器が一緒に入っていて、子供が使うような柄の毛布が下にしいてある。ここは、ペット禁止のアパート、ということは、このアパート内の子供が拾ってきた犬を親が、誰かがなんとかしてくれないかと捨てたのではなかろうか。
仔犬は痩せて震えていた。まずとにかく食べ物を与えよう。慌てて家の中に戻ると、何でもいいから食べられるものをとパンをつかみ少し温めた牛乳をかけて仔犬のところに持っていった。仔犬は、それを見て(匂いを嗅いで)一瞬固まったかと思うと、むさぼるように食べだした。そうとう空腹だったのだろう。食べ終わると少し元気になったのか、ダンボールから乗り出してきた。
![image3510528[1]](https://blog-imgs-36-origin.fc2.com/i/o/r/ioriaotori/20100921134911673.jpg)
結構食べるなあ、じゃあもう1枚。また、食パンをとりにいく。牛乳をかけ、仔犬のところに戻ると……いない!?あたりを見渡すと、姿が見えた。隣の庭で遊んでいたようだ。仔犬は食パンを持った僕に気が付くとなんと走ってきた。さっきまで震えて元気がなかった仔犬の目覚しい回復力には驚かされた。その元気さの理由は後に知ることになる。
とにかく誰か里親を、それから数日は仔犬を家に入れた状態で、飼い主を探すことに専念することになる。小さなぶち模様の体、白地に頭だけは全部茶色で目の周りには濃いラインが入っている。なんか、化粧しているみたいだなあ、この犬、しかも初めて見る模様。ネコとイヌの合いの子みたいだ。とにかく、仔犬の第一印象は「なんじゃこりゃ!?」だったのである。(つづく)