いつからだろう、「いつも傍にいる」が
「いつも傍にいてくれる」に変わったのは
君は1年前の今日 強風の中 みぞれが降る日
濡れて汚れてダンボールの中にいたね
風が止まるという意味の字「凪(なぎ)」に
「身も心も、もう2度と冷たい風に吹かれぬように」という願いが込められた
それは友人のアイデアだったけれど、
その名のとおり、君の幸せを願った
そうなるように、そうしよう、と
ときにつまずきながらも
それでも願ったのは君の幸せだった
君は、いつもいつも澄んだ瞳で真っ直ぐに見つめ、身を寄せてきた
多分、大好きだった前のブリーダーか飼い主に捨てられたのに、
いつも真っ直ぐに信じていた
「ずっと傍にいてね 見つめていてね」そんな目をして、寄り添い続ける
君はいつでも 懸命に応えてくれる
目を輝かせながら
小首をかしげて考えながら
君はいつでも めいいっぱい求めてくる
喜びを全身で表現して
じっと見つめては待ち続けて
小さな ぶちもようの体に、甘い顔立ち
甘えん坊で、寂しがりで、おとなしくて
吠えないけれど活発で、でもナイーブな子
小さな君は とても大きな存在になった
たくさん話して、遊びや散歩にしつけ、寝食を共にして
君の種族がしてきた仕事についても、知らなかったことを少しずつ知って
人間たちのしてきたことで犬達の味わってきた苦しみと悲しみも、
そして愛されたときの喜びと幸せが心の中に浸透していく
君を通して
君はたくさんのことを教えてくれた
だから思い描いた
君と目指す目標と未来の夢を
人々が、綺麗で可愛く賢い子だと、君に触れたがる
真っ直ぐなまなざしと、甘えた声、緩く揺れ動く尾に、君に触れた人は笑顔になる
太陽の下、白銀と黄金に輝く毛並み
風を切って駆けてくる 美しいストライド
ダンボールの隅で震えていた 捨て犬だった頃の面影はもうなくて
幸せそうな君の姿を見ると、君に与えてきたものと
一緒に過ごした時間は間違ってなかったんだと思う
ずっと傍にいてね凪
君に見合うよう、もっと良きパートナーになるから
ずっと傍にいるから
小さな凪。可愛い凪。
大好きな凪。愛しい凪。
生まれてきてくれてありがとう