動物愛護関連の情報と、独学ピアノの記録。

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9.  2歳時の凪の変化(後編)

犬の先祖であるオオカミは階級社会である。群れで生活し、上位から下位まで順位があるという。食べ物を得る順番などで毎回ケンカしなくていいように、もしくは役割分担としての仕事が存在するという。その順位はオオカミ同士で、ボディーランゲージや小競り合いで決着がつけられる。
犬にもそれが残っているという説と、犬とオオカミは違うという説があり、どの種類にどれだけオオカミの要素が残存しているかの差もあるが、昭和の愛犬王・平岩米吉氏のシェパードや柴犬の観察記録では、順位が明確に認められたという。ここでは、平岩氏の観察結果としての説をとることにする。実際に凪にもボディランゲージで犬同士の強弱を決める行動は見られたために、少なくとも凪にはその説はよく当てはまっているといえると思うからだ。

平岩氏によると、犬の順位は、大きな変化がない限り定着するという。
大きな変化とは、
1.家長または家族の死亡と移動
2.若い雄の成熟
3.出もどり
4.無法者の出現
(平岩米吉著「犬の行動と心理」94ページより)

そして、犬の順位は、
1.性別(オスとメスには別々の順位があるが、第1位のオスと第1位のメスでは、オスがリーダーとなる)
2.年齢(年上が優勢)
3.気の強さ
4.才能・敏捷な立ちまわり
5.体力
で決まるという。(平岩米吉著「犬の行動と心理」61ページより)

つまり、弱弱しかった子犬の凪は、成長により十分上位を狙える犬になっていたのである。
そして、このことは、凪が多くの犬と関わり、犬同士の付き合いを学ぶ中、凪自身が実感してきたことであろう。

ある時期から今までそれなりに付き合ってきたオス犬達が、凪のことを、もう子犬ではなく、成犬のオスでありライバルであるとみなし始めた。こういう場合、飼い主から離れた位置で、犬同士がボディランゲージなどで決着を付けておくと良いのだけれど、全ての犬とそうするというわけにもいかない。「決着」は、互いの犬が社会性があり、攻撃抑制が効くことが前提である。しっかりした社会性が身についている犬はボディーランゲージで相手をむやみ傷つけることなく強弱の解決が出来るが、日本では「犬の教育という概念」がまだ薄いために、残念ながら犬同士の付き合いが苦手な犬が多い。(凪も実際にそのような目にあったことがあるが、すれ違いざまにいきなり噛み付くなどという犬はその典型である。)そのために、犬同士を付き合わせるのが苦手な人も多くなってしまっていると思う。

他の犬達が凪を見て、凪から漂ってくるにおいで、「どうやらあいつは強そうだ」というのを感じるのか、他のオス犬に警戒されることが多くなった。凪自身も、他の犬達との付き合い方を理解したあたりで、耳と尾をぴんと立てて大きな犬にもへらへらと近寄るようになっていたから、もともと本性は下位らしい気弱な性質ではなかったということだろう。犬が服従を表す場合は耳を伏せ、尾も下がっているが、それとは逆に耳と尾をぴんと立てた凪のボディランゲージは自分が優位であるという強気を表し、他犬から警戒される原因の1つであった。(つくづく、やたら自信のある犬よりは、下位に甘んじるタイプの犬のほうが他犬との軋轢が少ないために家庭犬としては向いていると思う。自信のある強気の犬は、同様に強気な犬の神経を逆撫でしやすくなると思う。)

犬社会を知らなかった最初の頃と違い、他の犬達との付き合い方が分かった時点で犬同士の付き合いで本来の性格が出てきたようだ。そして、凪に決定的な自信を付けさせたのは社会性のある犬達とのいくらかの「決着」だと思う。その自信により、凪が吠えられても相手にしない小さい犬達も増えたが、自分より少し大きいくらいの犬をライバルとみなすようになったと思う。

その「決着」とは……
ある、凪よりひとまわり大きい中型犬オスが凪にマウンティングすることで上位を示そうとした。しかし、凪はそれをことごとくかわし、しまいに中型犬はへとへとになってしまったのだ。それ以来、その中型犬は凪にしかけることは一切なくなった。
そのことを1つのきっかけに、凪が強気の犬であることが凪の中で定着した、つまり現実として自信がついたように思えている。

凪が成長により、体力・敏捷性が充実し、強気な犬になっていると気が付くのが遅れてしまったために、その兆候に気が付くのはもっと後になってしまったが、後々思い出したのは、凪は引越しにも新しい場所にも動じなさすぎたということだった。ある程度の経験をしていれば新しいことにも動じにくいということは確かにあるし、好奇心が旺盛な性格だとしても、引越しを喜ぶ犬というのはめずらしいようだ。そのことを思えば、凪は拾ったばかりの子犬時に社会性が不足していたために、本来の性格が見えなくなっているところは多々あったものの、元々持ち合わせていた本質はかなり強気よりだったのではないかと思っている。


●凪は来たときに4ヶ月近かったのでたとえ知っていたとしてもあまり有用性はなかったと思うが、子犬が5~7週のときに特に有効な「キャンベルテスト」という子犬の性質を知るテストがある(子犬 キャンベルテストで検索すると出てくる)が、そういうのも成犬になったらどういう犬に育ちやすいかの傾向を見ることが出来るだろう。

次回(第10回 最終回)・御犬は恩を忘れない
だいぶ間の空いたこの連載も次回で終了です。今後は「なぎさんとひなたくん」で、犬ネコ同居の記録を書いていくことになります。
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8.2歳時の凪の変化(前編)

(少し間が空いたけれど、連載の続きです。次の後編と、第9回にて終了です。)

2歳になったある日、凪は初めて他人を見て吠えた。それは、アパートのすぐ外にいる中年男性に対してであった。耳と尾をピンと立てしっかりと両足を踏ん張り、体をやや前に乗り出し、目をしっかり見開き、低音で「ワウワウワウ」という警戒吠えであった。

それまで、凪は、父から「この犬はノドの病気ではないのか?」と言われるくらいにウンともスンとも言わなかったのである。凪は、中年以上の男性を苦手としていて、それは父のことも例外ではなかった。同居していれば、馴致もはやかったであろうが、そうでないため苦手な期間が続いたのである。凪は、父をはじめとする、苦手な中年以上の男性の前では耳を伏せ尾を下げてしおれていた。

その後、父がアパートに来たのだが、そのときもやはり耳と尾を立てて吠え、それはまさしく凪の大きな変化であることが確定した。父が、「犬が変わったようだ」と言う。

群れのメンバー以外の侵入者を知らせる(召集をかける)ために吠えるのは犬の正常な行動である。時々家に来る、凪が知らない人に対して吠えるのは対した問題でなかったし、たまに来る父に対しては、父に座って手をグーの形にして笑顔で凪に挨拶してもらうことで、警戒させないようにして馴れさせることができた。(犬は人間の手を”犬の口”と同様にみなすという。大きく開かれた手は、大きい犬が口を大きく開いて威嚇しているように見えるとのことである。訓練で、手を開いて伸ばす動作と交えて「マテ」というと犬が止まりやすいのはその応用。)

ただ、ひとつ問題があった。
凪は、夜道の散歩で、道に寝ている酔っぱらいや土手の下のほうでうずくまっている人を目ざとく見つけては吠えて知らせるようになったのである。それは、凪から見て、通常の行動をしていない人物に対する警戒の声であった。その他、凪が普通でないと判断する人物は、「マスク・サングラスをしている人」「帽子を深くかぶっている人」などの人相の分からない人物、それから、「公園で後ろ向きに歩いている人物」であった。この中で、マスク・サングラスなど人相の分からないほど顔をガードしている人は花粉症の人が主であり、公園で後ろ向きに歩いている人というのは、普段使わない筋肉を使う健康法らしい運動をしている人に過ぎなかった。凪が花粉症の人に吠えようが別に問題にはならないが、酔っぱらいに吠えるのはいささか困った。酔っている人に刺激を与えたら面倒になることもあるからである。凪は僕より夜目も鼻も利くから、とにかく不審人物に気がつくのがはやい。

吠えについてのことを、ドッグ・アクチュアリーの史嶋さんに相談したところ、そういう道を通るときは、横ではなく後ろにつけて歩くと吠えはおさまりやすいと言われたことで、実行したら、警戒吠えはだいぶ止んだ。気がついて知らせる役割をしなくていいと判断したらしい。そして、凪が急に吠えるようになったことに対しては、「2歳は成犬への入り口」であり、今までの経験と訓練の成果の「総合」が表れる時期であることが関係するという。
つまり、中年以上の男性に急に吠えるようになったことは、「凪の主な経験」の1つに、”小さい頃中年男性に対して怖い思いをしている。”という予測が立てられるということだった。凪と会う前、凪が捨て犬だった頃に凪がどんな経験をしているのかは知らないが、きっと何かあったのだろう。それに加えて、”群れの仲間に警戒すべきものを吠えて知らせるのは、やや強気の犬の行動傾向である”とのことだった。2歳の時点で凪は強気の犬になっていたのだ。

※吠えには色々あるが、「知らせるための警戒吠え」は「怖いから吠える」というのとは違う。耳と尾をピンと立てしっかりと両足を踏ん張り、目をしっかり見開き、低音で「ワウワウワウ」という自分を大きく見せての吠えは、ことからであった。対して、不安や恐怖を表す吠えは高音であり、耳と尾が下がって、体は引き気味。

「凪は強気の犬か?」少なくとも最初は違ったはずだ。苦手な父の前でただ、耳を伏せて尾を下げ、しおれていたのだから。それがいつの間にか「強気な犬」の部類に入っていたのだ。それは、警戒吠え以外に思い当たる節があった。(後編へ続く)

今まで読んだ犬本・そして凪の妹を迎えます

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今日は手持ちの犬本をブログで紹介しようと並べていたら、凪が様子を見に来たため、「よしよし(丁度呼ぼうと思っていた)、ちょっとお前ここに居てくれ」と言って背中を撫でると座ってくれました。ずっと一緒にいるから、ニュアンスで分かるのです。最初は少し本から離れた位置に座っていたため、凪の頭が半分カメラに入らなかったため、前脚を持って、一歩移動させました。名前を呼ぶとカメラ目線してれるので、そうして撮影。

お勧めは、
●平岩米吉「犬の行動と心理」
戦時中の銀座を狼と歩き、イヌ科動物たちや猫と同居し、犬フィラリア症の研究に貢献し、戦後に動物愛護活動をした愛犬王・平岩米吉氏の詳細な犬の観察記録です。
(昭和の愛犬王・平岩米吉の伝記「愛犬王」を読むと、ますます楽しく読める本)

●スタンレーコレンの「犬語の話し方」
平岩氏もそうですが、スタンレーコレン氏も、犬をよく観察してあり、ボディーランゲージから心を読み取ること、そして犬が犬になった歴史をも学ぶことが出来ます。

●訓練&アジリティー競技に出場したい人のための「ドッグ・トレーニングBOOK」
訓練&アジリティー競技に出場したい人のための、とありますが、基本訓練の仕方から順に写真つきで紹介されています。

●「犬といっしょにフリスビーであそぼう!」
こちらは、フリスビーの仕方ですが、基本訓練の仕方から順に書いてあります。そういうところがなってないとフリスビーも上手くいかないということですね。

●石川利昭「飼育マニュアルに吠えろ」
マニュアルでガチガチになることなく、おおらかに育てよう、という本。一見上2つとは正反対に見えますが、基本は同じだと思います。本来、訓練もその犬の本来の性質を受け入れ、犬が愛されていると感じること、つまり心がつながっていないと出来ません。そうであるのに、マニュアルだけが一人歩きしてしまったことに警鐘を鳴らす本です。

●太田匡彦「犬を殺すのは誰か ペット流通の闇」
この国のペット業界の闇、犬の殺処分のことなどが、細かい調査をもって詳しく書かれています。

●エレーヌ・グリモー「野生のしらべ」
ピアニスト、エレーヌ・グリモーさんの自伝です。エレーヌは、ピアノに魅せられ、狼に出会いました。現在はニューヨーク・ウルフ・センターを設立し、狼の保護活動をしておられます。なんと!この本、平岩米吉氏の伝記が書かれる上での参考文献になっていたので驚きました。僕の一番好きなピアニストが、敬愛する昭和の愛犬王と関連があるというあたり驚きです。
エレーヌ・グリモーが狼が好きということは、最初、演奏に惹かれたときは全く知らなかったことで、これも偶然です。

でも、なんだかんだ言っても、一番大切なことを教えてくれたのは凪で、犬との暮らしの素晴らしさを教えてくれたのは凪。これらの本を並べているけれど、凪が一番の先生ですね。凪あってこそ、この本たちが生きてきましたし、これらの本を通してまた、凪と深く付き合うことも出来ました。

この1週間以内に、凪の妹候補を迎えに行きます。保健所で殺処分される予定だった犬です。まだ、どんな子かは分かりません。凪と上手くいったら正式に家族になります。

7.凪貯金とストレス~大変だったあの頃とピアノとの出会い

凪に出会って最初の1年間は、全ての趣味をやめ、毎日の世話やしつけに奮闘し、貯金の全てを犬OKのアパートへ引っ越すために使うことになっていた。貯金のために仕事を増やしたりもしたし、気づかないうちに疲れとストレスは蓄積していたのだった。
凪に出会う前は、小説・絵・創作料理・オンラインゲームなど色々とやっていたのだが、全て中断せざるを得なかったわけだ。

そこで、凪と一緒に出来るアジリティやフリスビーをと考えたが、練習場に連れて行っても凪はむしろ、他の犬達と遊びたくてしょうがないようであった。そのような練習場には、一番競技向きである犬種「ボーダーコリー」がたくさん走っていて、それは凪が一番大好きな犬種であり、ボーダーコリーを見ただけで凪のテンションは「遊びたい!」という方に上がっていたのだった。

凪の好きな友達犬の名前を口にしてみたら、ピンと耳を立て、目を輝かせる。小さい頃は社会化不足で他の犬を怖がっていた凪だったが、馴致が上手く行き本来の性格が出てきたのか、生き生きと犬達と遊ぶようになり、そのこと自体は嬉しかったのだが、結局、凪と一緒に出来るアクティビティ計画は難しいということになってしまった。当時、凪の素晴らしい運動神経と体力だけで見るなら競技犬としての身体的素質は抜群であるぶん、性格・性質が伴わないということは残念なことだと思ったが、性格・性質も含めて「能力」と言えるのだと思う。

また、同時期に仕事を増やしてからというもの、おさまっていたはずの凪のいたずらが悪化したことも、ストレスの原因だった。

そのようなことを、ストレスの中、上手く言い表せずにブログにつづったことがあった。今思えば自分自身、かなり深刻なストレス状態だったために、ただ誰かに聞いて欲しいという気持ちで書いたのだと思う。しかし、文章がまとまらない結果、批判的な意見をもらったことに耐えられず、自分には表現力もないしブログを止めようと思ったときだった。子育てを経験した方からの理解ある言葉があった。支離滅裂な文章でも、子育て経験者にはピンと来たらしい。それは、
「欲しいと思ってさずかった子供を育てていても、ときには”いなければいいのに”と思うことがあった。あなたのように、ある日突然目の前に現れた子犬だったら、そのストレスはあたりまえのこと。」という感想であった。
その方は、いつも子供との充実した日々を日記に書いておられる方であった。そんな人にもそういう時期があったという驚きと共に、その言葉にはとても安心させられた。可愛いはずの凪にいらだってしまう自分は何か異常なんじゃないかという想いからのストレスであったために、その言葉により、自分は何も異常でもなければ愛情が足りない人間というわけでもないのだと、むしろこんな思いは誰にでもあることなんだと気が付き、ネガティブな想いから解放されるに至った。考えてみれば、世の中でも育児ノイローゼ・介護ノイローゼなどはよく聞く。その人達が酷い悪い人間だというわけではなく、育児や介護は誰にとっても普通に大変なことで、むしろ、ストレスを感じる自分がダメな人間なのだとか思い込んで自分自身を追い詰めてしまうことがまたストレスに拍車をかけ、ノイローゼにしてしまうのかもしれないと思った。

JRTは実際に手のかかる犬種として知られているが、凪は中でも普通のJRTではなかった。成長したいま現在の体格はスタンダードの1.5倍、脚がすらりと長い。その体つきはJRTの先祖、馬と併走して狩場に行き、肉食獣キツネと1対1で闘う実猟犬「パーソンラッセルテリア」によく似たスクエア(長方形)の体型をしている。こうなると、全犬種の中で最も運動量が多いということになっても全く不思議ではないのである。実際にどの犬と遊んでも、凪の軽い身のこなしと脚力は目立ち、細身で甘ったるい顔だちからは想像しがたい体力と運動神経を持つ違和感はどこに行っても目立つようでよく覚えられていた。それを人目をしのいで隠して育てる中で十分な運動量をおぎなうだけでも大変であるのに、寝る時間もないように貯金のためだけに仕事を詰め込んでいたのだから、今冷静になって考えれば、自分は無理のし過ぎであり、焦りすぎていたのだと思う。

(当時のスケジュール。仕事1日平均12時間、凪の散歩と運動3時間。その他しつけ。凪のための手作り食、自分の節約のための手作り食。その合間に移動時間とか買い物とか日常の雑事が入る。睡眠は5時間くらいだったか。今考えると、よく生きていたと思う(笑))

それに気が付き始めた頃、仕事を元のように減らし、もっと余裕をもって凪と向き合えるようにしようと思った。それと同時に凪のいたずらはぴたりと止んだ。単に凪は寂しかったのだということを想った。凪の脚の後ろの方の毛がハゲていたのもすっかり生えてきた。引っ越す前に、自分が倒れてしまったり、凪がずっと寂しい思いをするのでは意味が無い。ただ一途に「凪のために引越しを」と思っていたのだが、その思いが行き過ぎて焦りすぎることで結局凪のためにもなっていなかったのだ。

凪が落ち着き始め、しつけが上手く入ったことからリトリーブなどで運動量をまかなえるようになった頃、凪の世話と平行して何か出来る趣味はないかと思い、ふと思い出したのが子供の頃やっていた「エレクトーン」だった。それだったら、弾き始めるにも弾き終わるにも時間を取ることはないし、小説のように、「邪魔されたからと考えがまとまらないとかアイデアが飛ぶ」こともない。そこで、久しぶりに弾いてみたくなり、ネットで楽器を検索してみたが、かなりの金額であった。そこでやむなく61鍵のキーボードを買うことにした。ただ、キーボードはエレクトーンと違い、足鍵盤がない。別売りも調べたが、そこそこの値段であった。とりあえずは諦めて、キーボードだけを弾くことにした。楽譜は無料楽譜に頼ったが、ネットで見つかる無料楽譜はピアノ譜が多かった。ぼちぼちピアノ譜を弾くようになった。子供の頃、エレクトーン教室の隣はピアノ教室だったが、いつもそこから聴こえてきていたバイエルやブルグも弾いてみた。そうしているうちに、ピアノが欲しくなってきた。そこで、ネットで検索してみると、値段に驚く。検索した電子ピアノはエレクトーンと比べるとずっと安いのだ。

そうして購入したのが、先月まで使っていたPrivia PX-720であった。キーボードを買って、1ヶ月半で電子ピアノに変えたのである。ブログもすっかり、凪とピアノのブログになっていき、現在に至る。
(現在は引越しも1年以上前に済ませ、ピアノも新しいRoland FP-7Fである)。

☆次回予告 「凪のストライキ」~犬の反抗期と成犬への入り口
☆次々回予告 最終回 「動物と人の”虹の架け橋”」~忠犬たちとの出会いと別れ、そして今、凪と共に

6.凪の犬付き合い・犬の社会

最初の頃、凪は他の犬に吠えられると、その犬が柵越しであっても、その場に座り込んでしまい、こちらに中型くらいの犬が歩いてこようものならば、怯えて鳴きながら座り込んでしまうような犬であった。こういう状態の犬は「社会化不足」である。社会化期(3~12週)の間に、親犬や兄弟犬との接触が不十分であった場合に起こりえることである。きっと凪も、はやくから親や兄弟犬と離されていたのだろう。犬はとても「社会的な生き物」なのである。親・兄弟との接触が少なくては、犬が犬社会の中で共に暮らしていくルールを学ぶことが出来なくなってしまう。

犬社会とはどういう社会か。まず、リーダーから最下位のものまで順に順位がある。群れで行動するために、リーダーを筆頭に統率がとれている。協調のために、順位闘争以外では、むやみに仲間で争って傷つけあったりはしない。むやみな争いは群れの弱体化に繋がってしまう。闘わずして退くことに対し、「負け犬」などという言葉があるが、それは人間視点の見方である。犬は分をわきまえているのだ。そのためにむやみに無駄な争いをする必要がない。挨拶とボディーランゲージによる会話、そして時には小競り合いにより、犬同士で性別・年齢・気性・才能・体力を知り、順位を決めてしまう。負け犬とは実は、「分をわきまえた、社会性の高い、賢い御犬」なのである。

犬の先祖、狼は本来攻撃的な動物であるから犬もそうである、などというのもまた、とんだ間違いである。そうなってしまったものは、群れでの仲間との生活を知らずに過ごさせるという不自然な環境を人為的に与えたことが原因である。狼や犬は子犬の時期に仲間との挨拶の仕方、遊び方をなど仲間同士で学び、攻撃抑制も身につける。

また、多くの人の知りえぬことであるが、本来狼や犬は、一夫一妻制である。
このことは、犬を集団の状態で飼った昭和の愛犬王・平岩米吉氏の本「犬の行動と心理」に詳しく書いてあるが、その一部を抜粋させていただく。

「一般に犬の性生活は相応乱雑なもののように思われがちであるが、それはじつは雌雄が別々に飼われ、家族形成の困難なことなどに起因しているらしい。もし雄と雌をいっしょに飼って、その子犬たちの成長していく状態目で、くわしく観察することができれば、彼らもまた、明らかに一夫一妻制の傾向をもち、しかも、年長の雄を指導者とする、はっきりとした順位の規律にしたがっていることまで判ってくる」(犬の行動と心理・64ページより)
そして、そこには夫婦愛が見られるという。他にはキツネや狸もそうであるという。
「ある、養狐業者の話によると、野生の狐を捕った場合、いちばん困るのは、優秀な一頭の雄に多数の雌を配して、一時に大量の繁殖をさせようとしても、彼らが頑強に人間の押し付ける不倫を拒み、依然として一夫一妻制の習性をすてないことだという。また、私の飼っていた狸は、雌がお産をすると、雄は与える食べ物を自分は少しも食べずに、残らず雌のところへ持っていってしまうので、私は少なからず驚いたことがある。」(犬の行動と心理・63ページより)

人間は、理性の少ない人間のことをすぐに「ケダモノのようだ」などと言うことがあるが、こうして見ると、その言葉の中で下に見ている「獣」の方がよほど社会制度に従って暮らしているのではないか。人間は、無知と傲慢からそのような見下しの言葉を使っているに過ぎない。

犬が、社会化期にしっかり同胞と触れ合うことによって、どのようにしたら社会に受け入れられるかを学んでいくこと、これは社会的動物である人間と同様だ。小さい子供を全く他の人と触れ合わせずに育てたら、人間らしく育たないことは、オオカミに育てられた姉妹の話でも知られていることだと思う。犬も同様に、犬社会の中で、兄弟犬とじゃれあい、強くかみすぎたら親犬にたしなめられ、他の犬達とどのように関わるべきかを自然に学んでいく。そして、ここに人間がいて、人間を「知恵のある大きな犬でありリーダーである」と犬側がみなせば、人間との社会化も進んでいく。

このことは、史嶋桂さんの記事子犬の社会化とは何か(前編)子犬の社会化とは何か(後編)がとても分りやすかった。

犬なのに犬を怖がる犬や、攻撃抑制の効かない犬は、社会化が不十分であるという。そうならぬように、とにかく、生きていく中での自然な経験をどんどんさせようというわけである。犬の社会化の重要性を説く史嶋さんはまた、散歩で以下の場所に行くようにと書かれ、理由も述べてある。

犬がたくさん集まる公園・ドッグラン
自然が残る公園や緑地・畑地・河川敷・山林
近くの電車の駅や人通りの多い商店街、クルマがたくさん通る大通り
子供がたくさんくる児童公園と小学校の登下校路
「散歩の行き先」より

こういうことを踏まえて、凪のことを書けば、まず前回書いたように、凪は、「人間への社会化」がそこそこ、「人間の子供への社会化」は十分であったが、「犬への社会化」が不十分であった。子犬時代に、いろんな犬種、100匹の犬と遊ばせようなどという話も聞いたことがあるが、凪はそうなるためにはまず、順を追って犬に慣れることをしなければならなかった。いきなり、大型犬や吠える犬にむかわせるのではなく小型犬1匹ずつ、社会性の高い犬を選んで少しずつ慣れさせた。ミニチュアダックスにはじまり、ドッグランの小型犬コーナーに入れること。ジャックラッセルテリアやコーギーは、ドッグランによっては、小型犬(コーギーは中型犬)であるにも関わらず、「ハイパーな犬種であるため、大型犬コーナーに入れてください」と書かれていることもあるが、凪はまず小型犬と慣れさせることをした。

その頃の凪は、生後4~5ヶ月。犬の恐怖期といわれる月齢に突入し、この時期に怖いと思ったものは一生怖くなるという、慎重さを要する時期であるが、穏やかな小型犬から順に作戦が上手くいったのか、凪の馴致は順調にいった。

最初は怖がって、鳴きながら脚の後ろに隠れていた凪が、他の犬は怖くないと知っていく。吠える犬に対しても怖くなくなり、対処法も自ら学んだ。むやみに近寄らず、無視をすることである。

そして、凪はじゃれあいの中で、自分の体力と運動神経を知っていったようだ。中型犬が、小さい凪に優位を示そうとマウンティングのために凪の体に前足をかけようとするとき、凪はひらりひらりとそれをかわし、しまいに相手はゼイゼイ言ってあきらめた。見ていて、凪が自信がついてきたと感じるのはその時期と一致する。犬の序列には敏捷性や体力も影響する。凪は、自分の体力が体の大きさ以上に高いことを知っていったようだ。傍から見ても、凪の走る速さと身軽さは目立つようで、感心されることもよくあった。背中を弓なりに曲げ、前足を2本、後ろ足を2本そろえた、ダブルサスペンション・ギャロップの形で、体高を低くして、風の抵抗を少なくし、加速する。体は完全に宙に浮き、まさに飛ぶように走るのだった。凪には、その場で一回転し向きを変えることも可能であり、高い脚力で、中型犬の背中をハードルのように飛び越えたりもした。

そして凪がとりわけ気に入る犬種はある程度特定されてきた。

ミニダックス、甲斐犬、紀州犬、のような猟犬種。ゴールデンリトリバー、フラットコーテッド・リトリバー、ボーダーコリーなど、体力が高く遊び好きで体の大きい犬種。何やら通じるものがあるのだろうか。逆にパグのような短頭種は好まないようだった。
凪は活発な犬相手に、怖がることもなく、攻撃的になることもなく、楽しく遊ぶことが出来るようになった。やはり、犬が犬同士、思いっきり遊び走っている姿は最高に幸せそうである。今は、多くはドッグランという営利目的だったり隔離空間でしかかないにくいことではあるけれども、いつか動物達が自然に幸せに生きられる世界が訪れることを願ってやまない。

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・ドッグランでのじゃれあい。2匹とも軽く口を開けた余裕の表情で遊ぶ。これが、遊びであると明確に言えるのは、犬語では、怒っているときは、鼻にしわを寄せ、牙をむき出しガルルと唸るからである。
また、怒る前触れ、「気安く近寄るな」と相手に警戒をしめす時は「ウウ」と小さく唸る。
また、本気で攻撃に移るときは何のジェスチャーもせず、声も発せず、瞬時に相手の首筋に噛み付く。凪は、相手にいきなり噛まれた(こういうことをするのは社会性の不十分な犬)ときにのみ、瞬時に攻撃に転じたことがある。
声を出しているということは、まだ相手に自分の状態を伝えようとしているからといえる。

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・凪の好きな、フラットコーテッド・リトリバーと、笑顔(軽く口を開けた犬のリラックスの表情)で対面。

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・凪はクルマの多い大通りも散歩して慣れさせたことで、大きな音にも慣れていったが、とりわけ家の中からとはいえ、多くの犬が花火を好まない中、花火を余裕で見上げるのは、元が猟犬種であったことは関係していると思う。
ガンシャイと言い、銃声にびくつくようでは、猟犬として困るために、銃の音に過剰反応しないものが、選択育種されていったという歴史がある。
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